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ホルモー六景

ホルモー六景ホルモー六景
 著者:万城目 学

貧乏という言葉は、何とせつない字面をしているのか。
貧しく、乏しい。
まさに今の珠美の状況を説明するに、これ以上ない言葉だった。

オニを使役して競う競技ホルモーを題材にした短編小説6編からなるオムニバス。
前作鴨川ホルモーと、ほぼ同一時間軸で進んでいた別のお話。
伏線の張り方も、うまくなっていてなかなかに良い感じです。
この短編集だけでも十分楽しめますが、やはり前作を読んで置いた方が良いでしょう。

お気に入りは第六景「長持の恋」。
前作でギャグ要素としての匂いが濃厚だった高村のチョンマゲが、ウマイ具合に活かされている恋愛小説です。

今作で登場した新たなホルモーサークル"同志社大学黄龍陣"を交えたホルモー合戦を長編として読んでみたいですね。

鴨川ホルモー

鴨川ホルモー鴨川ホルモー
 著者:万城目 学

「このごろ都にはやるもの、
 勧誘、貧乏、一目ぼれ。
 葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。
 腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、
 出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。」

京都の大学間で行われている競技「ホルモー」。一人当たり100匹のオニを使役し10人一チームで戦闘を行う。
参加サークルは京都大学青龍会、京都産業大学玄武組、立命館大学白虎隊、龍谷大学フェニックス。
京都大学青龍会第五百代目の安倍を主人公に繰り広げられる青春小説。

主人公安倍とサークル間の人間関係にスポットを当てた作りになっています。
ホルモーやオニと言う大きな謎を置いてけぼりに、学生生活や人間関係に悩む主人公が良い。
キャラ立ちも良いし、このホルモーを題材に話を展開して行くのであれば、かなりうまい掴みになっている作品。
次作以降では、競技としてのホルモー自体をもっと掘り下げた作品もほしいところ。
二大陰陽師の名前を冠せられた主人公(安倍)とライバル(芦屋満)の対立も気になるところ。

軽い青春小説が読みたい方にオススメ。