斑鳩(Ikaruga)
機種 :Arcade / Dreamcast / Gamecube
発売日:■DC版 2002/09/05 ■GC版 2003/01/16
発売元:トレジャー
ジャンル:シューティング
基本情報は、こちら。
アーケード版 斑鳩 と、コンシューマ移植版の記事です。
■Project RS-2
斑鳩はレイディアントシルバーガンの思想を受け継ぐゲームです。
タイトルデモ画面には「Project RS-2」の文字が入っています。(暗くてわかりにくいですが)
プレイしてみればその世界観こそ違うものの、繋がりが感じられるものがあります。
■属性システムで大混乱
操作は1レバー3ボタン。ボタンはショット、属性変更、力の解放。
ゲームのシステムとして特徴的なのが「属性」システムです。
DC版のパッケージには 「撃て!」「避けろ!」そして・・・「当たれ!」 というキャッチコピーが。
前者二つはシューティングの基本ですが「当たれ!」はこの属性システムならではの要素です。
内容はやや複雑で下記のようになっています。
- 自機と敵機には「白か黒の属性」があり、自機は属性変更ボタンを押すことにより白と黒を切り替えることができる。
- 自機のショット、敵弾にも属性がある。発射時の色がそのまま適用される。
自機に敵弾が当たった場合、違う色なら自機が爆発してミスとなる。
同じ色なら敵弾は自機に吸収されミスにならない。
自機が敵機に体当たりされた場合や地形に接触した場合は色に関係なくミスとなる。 - 自機のショットと敵機の色が違う場合には、自機のショットと敵機の色が同じ場合に比べて敵機に与えるダメージが2倍になる。
- 敵機を撃つと、爆風から敵弾が自機に向かって打ち返される(打ち返し弾)。条件はランクにより異なる。
EASY:打ち返し弾なし
NORMAL:自機のショットと敵機の色が同じ場合、その色の打ち返し弾が発生。
HARD:自機のショットの色に関わらず、敵機の色の打ち返し弾が発生。 - 自機が敵弾を吸収すると画面下の「力の解放ゲージ」にパワーが溜まる。
力の解放ボタンを押した時、その時点のパワーに応じて敵を自動追尾するレーザーが自機から発射される。
レーザーは地形などの障害物をすり抜け、自機に近い敵から命中する。
自機ショットの10倍の威力がある。
具体例で言うとこうなります。(NORMALランクの場合)
自機:白 の状態で黒の敵弾に当たるとミス。敵弾が白ならミスにならない。逆も同様。
自機:白、敵:白 の状態で敵機を破壊すると白の打ち返し弾が発生。逆なら打ち返し弾は無い。
■チェーンコンボで稼げ
シルバーガンと同様に得点システムにはある条件で敵機を撃っていくとボーナスが得られるようになっています。(チェーンコンボボーナス)
条件とは「同じ色の敵機を3機ずつ撃つ」というもので3機と3機のつなぎは違う色でもOKです。
3機目を打った時点で得点が倍になっていきます。(100点 〜 最大25600点)
3機に満たずに違う色の敵機を撃ってしまうと100点からやり直しです。(チェーン切れ)
白白白 → 白白白 つながる。
白白白 → 黒黒黒 つながる。
白白白 → 黒黒白 チェーン切れ。
なお、このゲームには自機のパワーUPがありません。
得点で得られる直接的なメリットは自機が増えることだけですので、無理にチェーンコンボを狙わなくともゲームは進められます。
(ミスを恐れずに稼いだ方が残機が増えて結果的に進めやすくなりますが・・・・)
■練りこまれたステージ構成、演出面も一級品
属性システムとチェーンコンボが熟考された各ステージの作りこみは「イカしてる」と「イカレてる」が紙一重の世界。
初見で抜けるのは到底無理じゃないかと思うギミックがこれでもかと詰め込まれています。
基本的にパターンゲームなので、敵機の出現パターン、撃つ順番、属性変更のタイミング、力の解放の使いどころなどを考慮してパターンを組んでいけばエンディングに到達できます。
難しいですが、あきらめない心が肝心です。
(逆に、大してやる気も無いのに安易に手を出すと挫折するとも言えますが・・・・)
また、やり込みの懐が深い点も評価できます。
随所に「早回し」(敵機を素早く全滅させると追加の敵機が出現する) がさりげなく仕込まれており、それを成功させるのも高難度。
パターン化可能とは言っても、そのパターンの複雑さでかなりの練習が必要です。
グラフィックに関しては一目瞭然。白と黒で構成された世界は美しく、渋い。
月刊アルカディア誌にて「2002年度ベストグラフィック賞」を受賞している実績は伊達ではありません。
オーケストラ調のBGMが場面にシンクロして流れ、ゲーム展開を盛り上げます。(サントラが発売されていないのが残念)
■DC版,GC版の移植度は?
コンシューマへの移植度ですが、GC版は未プレイにつき以下はDC版を元に書きます。
普通のTVで使う横画面モードでは縮小表示になります。このモードではAC版で処理落ちが掛かっていた部分がまったく処理落ちしなくなります。
処理落ちが無い分、操作スピードを速くしなければならない部分が出てきます。
また、縮小画面ゆえに大画面のTVが欲しいところです。上記の点を除けばAC版とのプレイ感のギャップは少なく妥当な移植です。
縦画面モードについては処理落ちもいい感じで掛かり、AC版ソックリ。さすがAC版と互換ハードだけのことはあります。
VGA出力にも対応しているので反時計回りに回転ができる液晶モニタをお持ちなら縦にして使えます。
加えて操作性の良いジョイスティックがあれば幸せになれるでしょう。(精密な操作を要求されるためパッドでは厳しいと思います)
AC版の移植モードとは別にプロトタイプモードも収録されています。
これは自機ショットと力の解放に弾数制限がある(敵弾吸収で弾数が増える)システムです。
開発段階の初期に作られたものだそうで、今のAC版はゲームをよりシンプルにする為に弾数制限を外したとのこと。
これはこれで本編とは別のゲームとして遊べてお得です。
■究極の世界
ご存知の人もおられるかと思いますが、攻略DVDが発売されています。(こちら)
いやはや何コレ凄まじい内容です。「人間やればできる」と思ったと同時に、プレイヤーとしての基本性能の違いを垣間見た感じです。
チェーンコンボを繋げつつ敵弾吸収(1発100点)を攻めに攻めており、プレイヤーさん達はこの映像に辿り着く過程で相当な努力をされていると思います。
斑鳩プレイヤーならこの内容に込められた苦労と熱意が感じられるでしょう。
■おまけ
- その1
このゲームの別の遊び方として、全面を通して敵機を一機も撃たずにクリアすることが可能です。
各面の最後にプレイ内容の評価が出てきますが、このプレイをするとAとかSとかの代わりに「DOT EATER!」と評価されます。
2面のブロック地帯は抜けるのムリじゃね? という疑問はブロックとブロックの繋ぎ目に自機の中心を合わせるとブロックに当たらず抜けられます。
この仕様はロケテストでこういうプレイをしていた人を見て発売時に追加したとのこと。 - その2
評価サイトで見かけた興味深いコメントを引用。こういう解釈もあります。同社の「レイディアントシルバーガン(セガサターン版)」のエンディングに込められたメッセージと同様にこのゲームにもステージ開始メッセージにスタッフの決意と自虐を読み取れることが出来る。
一見不利な戦いを挑んでるように見れるが、シューティンゲーム黄金時代の栄光と高いゲーム性を現在のゲーマーに伝えることに冬の時代なりのこのタイトルの存在意義を認めることが出来る。
”ゆえに斑鳩は行くのである” - その3
このゲームは突き詰めていくとコテコテのパターンゲーム。それを「ゲームをやらされている」と感じて敬遠されるプレイヤーもおられるようです。
まあ、これは個人の嗜好の問題なので仕方ないと思いますが(私は問題無し)AC版から入った者としては「問題をどのような方法で解いていくか」を自分で考えつつ、他人のプレイをギャラリーしても発見がある点は良いと思います。
まだ未体験の人は、いきなり正解の攻略情報を求めずに「まずは自分で考えて」やってみる方がより楽しめるかと思います。 - その4
この記事を書くに当たって私の経験値は、NORMALモードでALLクリア 3100万(ノーミス 残×7)程度です。
まだまだ改良の余地はたくさんあります。精進が足りませんねぇ・・・・せめて残×8まではいきたい・・・・。
こちらのサイトさんで攻略ムービーを配布されていますので興味のある方はどうぞ。(←注意:パターン完全ネタバレです!)