キノの旅〈9〉the Beautiful World
著者:時雨沢 恵一
電撃文庫/メディアワークス
関連記事:キノの旅 「旅人の話」
買いました〜。
いやいや、久々の新刊! 面白かったですよ〜。
相変わらずの静かな雰囲気、相変わらずの長閑な雰囲気、そしてダークな風刺。
面白さ健在です〜。
あなたのその悲しみは やがてあなたになる−Do You Love You?−
今回は全部で 14 話(15 話?)の短編。
それぞれのあらすじを簡単に書くと…
「なってないひとたち」−Traveler's Tale−
キノがとある国のレストランで出会った男は、キノの旅の仕方に意見を述べた。
師匠がとある国のレストランで出会った男は、師匠の旅の仕方に意見を述べた。
シズがとある国のレストランで出会った男は、シズの旅の仕方に意見を述べた。
その男の言った言葉とは…。
「城壁の話」−Sweet Home−
ある草原の道でキノとエルメスが出会った国。
そこは、白く高く巨大な城壁に囲まれていて、中の様子を窺うことはできなかった。
旅人の噂にもまったく聞くことのなかった国。そこに入るべく、彼らは入り口を探し始めた…。
「悲しみの中で・a,b」−Yearning a,b−
不幸が続き悲しみに暮れる国。
誰もが笑顔を失い。生きる目的を、希望を見失ったその国に、一人の男が立ち上がった!
そして、その若者は…。
「記録の国」−His Record−
キノの望む“いい国”。
「食べ物が美味しくて安い。シャワーつきの宿が安い。──もしくは両方ともタダ」
エルメスの望む“いい国”。
「燃料が、部品が、整備費用が安い。もしくは軒並み、ことごとくタダ!」
そんな理想的な国にたどり着いたキノとエルメス。
国民の誰もが幸せそうに生き、笑顔で暮らすその国に、一人だけ不幸を語る男がいた。
「私以外には、この国はいいところさ。──ああ、確かにとても素晴らしい国だよ。──間違いない」
そういって、男は自分の不幸を語り始める…。
「いい人達の夕べ」−Innocence−
ある商人の夕食に招待された師匠。
その時とった行動は。
そして、“いい人”とは…。
「作家の旅」−Editor's Travels−
ある国を訪れたキノとエルメスは、その国の作家に色々とご馳走される。
作家は元はキノと同じ旅人で、1 年ほど前にこの国に来て、本を書き、ベストセラー作家となったらしい。
その作品を読んだキノは作家に尋ねる…
「──あの話、ボクは前に別の国で読んだことがありました。作者名は、あなたじゃなかった記憶があります」
その問いかけに作家は…。
「電波の国」−Not Guilty−
シズ・陸・ティーの訪れた国で、凶悪な大量殺人が発生した。
その国の警察署長は語る
「この国では、数年に一度、こういった事件が起こります。猟奇的な大量殺人です。とても悲しく、残念なことですが」
そして更に…
「それらは、悪い電波を受信することによって起こされるのです。だから罰することができません。あの男は無罪となり、病院で隔離され治療を受けることになるでしょう」
その国には、奴隷として集められた人間達が、頭の中に小さな機械を埋め込まれて意のままに使役された恐ろしい過去があった。
その電波を止める役目を買って出たシズ一向だったが…。
「日記の国」−Historians−
日記を付ける事を、国の教育として定められた国。
“日記当番”として役割を与えられた子供達は、その日の出来事を日記に記し、そしてどの日記が一番であるかを評価される。
「僕はこんなの、他の人の日記を自分の日記帳に貼り付けるのはいやです!」
やり方に疑問を持った一人の少年が声をあげた…。
「自然保護の国」−Let's It Be!−
大きな木の下にある国を師匠と男が訪れた。
木によって育まれ、木と共に生きてきた国…。
しかし、その木は寿命を迎え朽ち果てようとしていた。
国の人たちもそれには気が付き、そして木と共に果てる決意をしていた。
師匠はその木を見て感想をもらす。
「倒れた樹から、次の芽が出るでしょう。
まあ、それを私達が見ることはないのでしょうが」
その話を子供の頃に聞かされていたキノは…。
そして、その国が選んだ未来は…。
「商人の国」−Professionals−
とある国を目指して進むキノは、その国で生まれた商人と旅の途中で出会う。
話をしながら一緒にその国を目指すキノと商人。
その時、突然の大地震が辺りを襲った!
二人がくだした判断とは?
そして、旅のプロ、商人のプロが選択するべき道とは…。
「殺す国」−Clearance−
体調を崩した男が、師匠と共にある国を訪れた。
その国は、突如知らない国から宣戦布告され臨戦態勢にあった。
交渉の結果、戦術家兼傭兵として雇われた師匠は、兵士を訓練し、防御を堅め、戦争の準備を進める。
そして、いよいよ開戦の時が来た…。
不可思議なことに、敵は武器も持たずにただひたすら一直線に向かってくる。
疑問に思いながらも戦い続ける兵士達、その結果とは…。
「続・戦車の話」−Spirit−
戦車長にある戦車の破壊を命じられ、それ以来ずっと彷徨い続けてきた自動操縦の戦車だったが。
遂にその機体そのものが動かなくなる時が訪れた。
任務が遂行できず口惜しいまま眠りにつく戦車…。
しかし、それを発見した子供達が、戦車を修理してくれるという。
その結果は…。
「むかしの話」−Tea Talks−
シズ・陸・ティーが、男の人を欲している国を訪れた。女の子を欲している国を訪れた。犬が欲しい国を訪れた。
果たして、理想の国は見つかるのか…。
「説得力?」−Persuader II−
ある男に格闘技を教わる、旅に出る前のキノ…。
勝たなければ、旅に出ることはできない。
しかし、何度やっても勝てる見込みが見えてこない。
その時、キノのとった行動は?
そして、本当に大事なものとは…。
とまあ、こんな感じ…。
とにかく表現の上手さが面白いです!
機会がありましたら、是非手にとって読んでみてください。
− おまけ −
え〜と、このシリーズをいつも買っておられる方で。
「今回の巻はあとがきがまともだ〜!!!」
とお嘆きの方…。
ちゃんと、帯は取ってみましたか?
カバーを外してみましたか?
時雨沢先生がこの部分の期待を裏切ることはないようです。
大急ぎでチェックしましょう!!!