いのちの食べかた
監督・撮影:ニコラウス・ゲイハルター
編集:ウォルフガング・ヴィダーホーファー
脚本:ウォルフガング・ヴィダーホーファー、ニコラウス・ゲイハルター
録音・整音:ステファン・ホルツァー、アンドレアス・ハンザ、他
リサーチャー:ディヴィッド・バーネット、他
見てきました〜。
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セリフがないからいつもの書き出しに何も書けなかったよ!
というわけで見てみました! 「いのちの食べかた」。
とりあえず自分の中で一番強く残っている感想としてはやはり…
すげぇ真面目なドキュメンタリー!
もうね、映像だけなの。
セリフとかインタビューとかないの。
音楽もないの。
あるのは映像と、その現場で響いているであろう音のみ。
オートメーション化されることによって発せられるエンジン音とか、モーター音とか…
そして、普段我々が食べているであろう食料を作り出す過程が延々と撮影されいるのですよ。
植物も、動物も…一部調味料も?
時々、食べ物を作っているというイメージを強調する為なのか、
そういった食肉工場や農場で働く人達の食事風景が入ったりもするけど、
それ以外はホント淡々と流される映像だけなんですよね。
すげぇ低予算映画じゃね? これ。
でも、だからこそ訴えかけるものがあるんですよ、これが!
何というのかな〜。
「見て面白かった」じゃないんですよね。
でも、「見て良かった」これは言える気がします。
一部グロっぽいシーンや残酷なシーンがありますが、
よっぽどそういう系に弱い人でなければ多分大丈夫!
悪くても夕飯に肉料理が食べられなくなる程度だと思う。
なので、万人にオススメしたい作品ですね〜。
※以下、一部ネタバレを含みそうなのでOKな人だけお読み下さい。
主題として語られているのは利益追求の為に効率化された食料品製造の現状というものだと思うのですが、
その中で見ていてどうしても目立ってきてしまうのが残酷さという側面。特に動物。
これ、不思議ですよねー。
植物だってシステムに組み込まれる事によって残酷な扱いは受けているのですよ。
パプリカとか、収穫のタイミングが終わったからといって、まだ実がなっているのに纏めて廃棄されたりとかね。
マジックハンドみたいなので無理矢理震い落とされて、土と一緒に回収される木の実とかね。
やられていることを考えれば残酷なはず…でも、システムにしか見えない。
これが魚でもそんなに強くは感じないのですよね。
生け簀を泳いでいるのをホースで吸い上げられて…
ベルトコンベアで運ばれながら自動的に腹捌かれて、
掃除機みたいなので腸吸われて…
“生き物”ではなく“物”としての扱いでしかない。
でも、まだシステムとして見れる。
これが動物になると何やらイメージが変わってきます。
ベルトコンベアで運ばれるヒヨコ。
生きているのに物のように掴まれ、
物のように抱えられてケースを移され、
弱い個体なのか怪我している個体なのか、
一部は分別されて生きたまま殻と共にゴミ箱の中へ。
その後注射なんかもされながら、辿り着くのは広い部屋。
部屋は広いが、黄色い絨毯の如く大量に敷き詰められる。
時間が経てば、それは白い絨毯へと変わり、
再びベルトコンベアーで運ばれて、
逆さに吊り下げられ、
血抜きをされ、
羽を毟られ、
内蔵を抜かれ、
首を切られ、
食肉へと加工されていきます。
豚や牛も同じ様な光景が描かれています。
ある機械の右側に悲鳴をあげながら押し込まれる豚。
左からは吊り下げられた死体の豚。
がっちりと抑えられた円筒形の容器の中に入れられ、
怯えるままに電気ショックを浴びて吊される牛。
システムの一言では語れない、
植物や魚にはなかった感情がどうしても沸き上がります。
けど、これを可哀想と言ってはいけないのですよね。
可哀想だ、止めるべきだと思う人はもう肉食べるな。
抱くのであれば、自分の血となり肉となってくれる食べ物への感謝の気持ちと、
無駄にしない心であるべきだと、正直あらためて感じさせられました。
あ、でも。全編通してそんなシーンばかりというわけではないですよ〜。
おそらく岩塩を採掘しているシーンだと思うのですが…
壁一面が白一色に染められた地下の中でライトアップしてブルドーザーを動かすシーンは、
正直綺麗だと感動しましたし。
まあ、いろいろな意味で見どころがあるちゅー感じでしょうかね。
− おまけ −
この作品の日本での宣伝には、近年注目されている食の安全云々について、
確か謳っているような部分があったように記憶しているのですが…
確かに、作品のラストは牛の食肉加工工場での消毒・洗浄シーンで終わるのですが、
それが物凄く取って付けたように感じたのは私だけでしょうかねー。
◆pine殿
コメントありがとうございます。
知識として持っているものではあったけど、
映像として見るとまた違うものが正直ありましたねー。
ホント、現実を見ると色々と考えさせられるものがあります。
まあ、本当の現実は視覚・聴覚だけじゃなく嗅覚に訴えかけてくるものがあるので、
更に大変で心に響いてくるものがあるのでしょうけどね(苦笑)。
そちらの地元でも6月だったかに上映あるみたいですよー。
大画面で見る必要性はあんまりないのでDVDでも変わらない気もしますが、
機会がありましたら是非どうぞ〜。
なかなかすごい作品を見てきましたね。
DVDになったらレンタルしてみたいなと思ってました。
食に対する漫然とした意識が変わるなー(−_−;)