船戸与一」タグアーカイブ

蟹喰い猿フーガ

51MFMJF42PL._SL75_.jpg蟹喰い猿フーガ
 著者:船戸与一
「人生のうちで重要なことはほとんど無いに等しいんだ。何が起こったって、べつにおたつくことはねぇやな」

稀代の詐欺師エル・ドゥロ、試合中の事故で対戦相手を死なせてしまった元J・ミドル級の日本チャンプと、2人の女子プロレスラー。
こいつらがアメリカ大陸を股にかけて大金奪取をもくろむ話。

疾走感あふれるロードムービー、印象としては乾いたメキシコの大地。
エル・ドゥロの無茶っぷりに笑わされながらも、最後はほんのり心にしみる良い話です。
重要な場面に流れてくる作詞作曲者不明の曲「蟹喰い猿フーガ」が物語のアクセントとなる。

カルナヴァル戦記

21XA3JA3CKL._SL75_.jpgカルナヴァル戦記
 著者:船戸与一
カルナヴァルで熱狂するリオの街で組織の裏切り者"金承春"を狙う日本人暗殺者を描く表題作を筆頭に南米の裏の世界で生きる日本人を主役にした短編7編を収める。

舞台は白人農園主達が黒人奴隷を導入し、先住民族を奴隷として必要としなくなったために本格的に絶滅させようとした暗い歴史を持つブラジル。
切ない話が多いですが、特にお気に入りは孫娘の施術費用を稼ぐために体を張る老婆を主人公にした"おタキ"。
老婆の悲壮な覚悟が悲しい1篇です。
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緋色の時代

51Z984YEJCL._SL75_.jpg51KFY5KWMEL._SL75_.jpg緋色の時代〈上〉〈下〉
 著者:船戸 与一

船戸さんの小説は、主人公(達)は大抵ラストでは全滅して寂寥感だけが残る終わり方をしてます。
#「兵どもが夢の後」って感じ。それが良い所なんだけどね (^^;;;
でも、この小説では珍しくラストで救いがあります。

アフガン帰還兵がソ連崩壊後のロシアでマフィアとして暗躍。
そこに元 KGB やらロシア民警やらが入り交じって闘争を繰り広る。
しかも信仰のためとか正義のためとかの胡散臭い理由で戦う奴は一人も居なくて、みな金銭のためとかサディズムを満たすためとか、とにかく自らのエゴで容赦なく殺しまくる
# こう書くと救いがなさそうだなぁ

船戸さんのねらいは
「ヒットする大衆小説は、革命もしくは戦争と恋が同時に起き、革命もしくは戦争が進化していくと恋も進化していく。
そして最後は革命ないし戦争が遠景として去っていって恋愛だけが残る。それをやろうと思って」
と言うことらしいが、それが見事に成功した感じ。
もちろんお得意の主要人物のあっけない死もあります。