船戸さんの小説は、主人公(達)は大抵ラストでは全滅して寂寥感だけが残る終わり方をしてます。
#「兵どもが夢の後」って感じ。それが良い所なんだけどね (^^;;;
でも、この小説では珍しくラストで救いがあります。
アフガン帰還兵がソ連崩壊後のロシアでマフィアとして暗躍。
そこに元 KGB やらロシア民警やらが入り交じって闘争を繰り広る。
しかも信仰のためとか正義のためとかの胡散臭い理由で戦う奴は一人も居なくて、みな金銭のためとかサディズムを満たすためとか、とにかく自らのエゴで容赦なく殺しまくる。
# こう書くと救いがなさそうだなぁ…
船戸さんのねらいは
「ヒットする大衆小説は、革命もしくは戦争と恋が同時に起き、革命もしくは戦争が進化していくと恋も進化していく。
そして最後は革命ないし戦争が遠景として去っていって恋愛だけが残る。それをやろうと思って」
と言うことらしいが、それが見事に成功した感じ。
もちろんお得意の主要人物のあっけない死もあります。