マルドゥック・ヴェロシティ(1)(2)(3)
著者:冲方 丁
買いました〜。
おお、炸裂[エクスプロード]よ──!
いやいや、正月休みをじっくりと休ませていただきました。
久し振りのレビューです。
私の方から 2007 年最初に紹介する作品はこれ、マルドゥック・ヴェロシティです。
前作マルドゥック・スクランブルの敵役であるディムズデイル=ボイルドの主人公とし、スクランブル以前に起きた出来事。特に、白兵戦最強ネズミのウフコックとの訣別…..要するに、スクランブルで疑問として残った部分が語られている感じでしょうか。
スクランブル以前の話が描かれていますが、楽しみ方としてはやはり発売された順序。スクランブル→ヴェロシティの順番で読んだ方が楽しめるのではないかと思います。
あと、特筆すべき所としては何といっても文体。
冲方先生らしい言葉遊びは相変わらず随所に散りばめられているのですが、それ以外の意味でも今回のは斬新…というか、初めて見る表現方法です。見辛さ、解り辛さも結構あるので賛否両論別れるかな〜…とは思うところですが、個人的には結構良かったのではないかと感想を持っています。
プロローグとエピローグを除けば、スクランブルを読まずに単体でも楽しめる作品に仕上がってはおりますが。やはり、プロローグ/エピローグ共に楽しむ意味でも、マルドゥック・スクランブルを読んで楽しいと思われた方にはオススメです。
− 以下ネタバレ含む −
ボイルドカッコ良いじゃん!
スクランブルで半分狂った様な敵役を演じていたボイルドですが、見方が一新する感じです。
迷いを含んだ人間としてのボイルド。良心の象徴として描かれるウフコック。
良心だけでは物事を解決することはできない。大切な仲間を守ることはできない。
それ故に虚無へと染まっていくボイルドの存在は、悲劇とは別の意味で何やら切ないものを感じずにはいられません。
しかし、そうしながらも一人、また一人と仲間を失っていく展開。
何処までも続く失墜。
構えて読まないと鬱になるかも〜(嘘)。
でもまあ、最終的に想いを成し遂げる事ができる点や、ナタリアとの関係が十分に幸せである辺りが救いでしょうか…。
個人的には、最後の最後でウフコックを信じた部分に妙に熱いものを感じました。
さてさて、一応世界観の完全な構築と伏線キャラが残ったマルドゥックですが…。
シザース vs バロット & ウフコック
を描くのかな? 描くのかな???
・・・・・・・・・・・・・・・
見たい気もするけど、やめて欲しい気もする微妙な世界…。
− おまけ −
でも、その前にスクランブルのアニメ化があるわけですよねー。
手を抜かずにしっかり作って欲しいものです。
◆ taka 殿
コメントありがとうございます。
はい…ハッキリ言って好みは分かれると思います(苦笑)。
判断方法としては、やはり「マルドゥック・スクランブル」を
読んでみてどう思うか…でしょうかね〜。
スクランブルの方は読み物として良くできているので、
結構誰もが読めるとは思うのですが…。
この「マルドゥック・ヴェロシティ」は、スクランブルの
暗い部分…。ダークな感じをかなり強調したところがあるので、
そういった意味でも、スクランブルで判断ができるのでは
ないかと思います。
「カオス・レギオン」シリーズに見られるような“冲方節”を
想定していると、とにかく裏切られると思いますので、
その点は御注意を〜〜〜。
これ、ちょっと気になっています。
読もうかな…と思ったのですが、色々なところの感想を読む限りでは好みの分かれそうな本ですね。