ミノタウロス

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 著者:佐藤 亜紀

どうせ戦争で死ぬのなら勉強なぞしなくても一緒ではないかと思ったが、伯父の狂信の前では屁理屈に過ぎなかった。
つまり、伯父のスラヴの大儀は、落第生よりは優等生を、病弱な奴よりは身体強健な人間を、次男よりは長男を、子沢山の家の末っ子よりは一人息子を、つまりはより貴重な、より愛される、より有用な人間を犠牲として求めていた。

20世紀初頭、ロシア革命前後のウクライナを舞台に地主の息子ヴァシリが、オーストリア軍の脱走兵ウルリヒを相棒に生き抜くお話。

佐藤亜紀は、某共産国の後ろ盾でN県が日本から独立した世界を描いた戦争の法以来なのですが、良かったです。
戦争の法には、まだロマンがあったり救いがあったりしましたが、この作品には微塵もありませんでしたね。
前半のヴァシリのヘタレっぷりも良いが、後半の小悪党ぶりもたまらない。
しかも、ラストに微塵の救いも無いところが、むしろ清清しくて良いですね。

佐藤賢一の赤目のジャック辺りを好む人にはオススメできるかと。


訛っている登場人物のしゃべり方が長岡近辺の方言であるのは、親しみがもてますね。

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