時計館の殺人
著者:綾辻 行人
「"現実"という名の巨大幻想を造り出し、これを確かな基本として万人に認めさせ、信じさせるような圧力を加え続けることが、この社会と言うものの最大の役割なんだと思う。そうすることによって初めて、人々に安定が供給されるわけだ。」
鎌倉の郊外に立つ時計館。その館は当時の当主がコレクションした108もの時計で埋め尽くされている。
幽霊が現れるという噂があるその館に取材のために訪れた雑誌「CHAOS」の編集者と霊能力者、W****大の超常現象研究会(ミステリ研)のメンバ達。
10年前に時計館で起こった痛ましい事故と、彼らを襲う連続殺人との関係とは?
館シリーズ5作目。場を支配する大掛かりなメイントリックを擁する閉ざされた館モノ。
事件が起こっている館内と、事件を知らずに他の謎を追っている館外の探偵役。
構図は氏のデビュー作「十角館の殺人」と全く同じですね。
解決後、真相がひっくりかえる所は流石ですが…
異色ですよねぇ。シリーズ通しての探偵役”鹿谷門実”さんの活躍もあまり無いですし…
ただ、今までの館シリーズでの前提を大胆にメイントリックに使っている辺りにクラクラきてしまいました。
先日、迷路館を読み終わりました。
これに霧越邸と殺人鬼(笑)を読んだので、そこそこ綾辻作品を制覇しました。
人形館が好みですか~、館シリーズで一番異色な作品ですよね?
雰囲気が江戸川乱歩っぽくて、芸術性が高い作品と思います。
ごきらくさん、はじめまして。
私は、どちらかというと「人形館」が好みです。
この話もスケールが大きいのは良いんですが、メイントリックが分かりやすかったため、最初のほうで気づいてしまいました。
スケールと被害者の人数が大きくて楽しめました。
一角館、水車館、黒猫館、人形館と幾つか読みましたが、ベストと思います。