幽談
著者: 京極 夏彦
「こうやって、可能性を広げていく、それが想像力だと俺は思う。だから神秘と合理は相反するものじゃない。合理の先に神秘はある。非合理が神秘だと思うのは、そりゃ間違いだろうし、合理は神秘を否定するという、そういう短絡も、アホだと思うぞ」
ホラーでもない、怪談でもない、八つの幽談を納めた短編集。
収録作品はどれも、怖いわけでもなく、恐ろしいわけでもなく、可笑しいわけでもなく、なんとなく儚い、幽かな話。
京極堂シリーズや怪談百物語シリーズのような、キャラが立っている作品ではありませんが、味わい深い作品。
収録短編は以下の通り。
- 手首を拾う
昔、古い旅館の庭で拾った手首に会いに行く話。 - ともだち
小学生の頃、少し住んでいた街に30年ぶりに行った話。 - 下の人
ある日、ベッドの下に住みついた人との話。 - 成人
成らなかった人との話。 - 逃げよう
なんだかわからない厭なモノに追いかけられて、おばあちゃんの家に逃げ込む話。 - 十万年
人と違うモノが観える彼女との話。 - 知らないこと
突然、異常行動を取るようになった隣人を観察する兄妹の話。 - こわいもの
怖いものを求める男の話。
すべての話に共通していますが、謎は謎として、不思議は不思議として、放りっぱなしです。
京極堂シリーズのようにカラクリを解いてくれる人はいません。
理屈がわからないとモヤモヤしてしまう人にはオススメできないかも。
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