サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY
著者:河野裕
イラスト:椎名優
角川スニーカー文庫/角川書店
買いました〜。
「リセット」たった一言。それだけで、世界は、三日分死ぬ──。
なかなか楽しい限定環境ループ世界。
深夜の「涼宮ハルヒの憂鬱」を眺めていたら、
なにげ〜に流れている宣伝が頭に残って、
なにげ〜に買ってしまった小説『サクラダリセット』をご紹介致します。
え〜っと、まずはいつも通り裏表紙のあらすじを引用させてもらって…
「リセット」たった一言。それだけで、世界は、三日分死ぬ──。
能力者が集う街、咲良田。浅井ケイ(あさい けい)は、記憶を保持する能力をもった高校一年生。春埼美空(はるき みそら)は、「リセット」──世界を三日分巻き戻す能力をもっており、ケイの指示で発動する。
高校の「奉仕クラブ」に所属する彼らは、ある日「死んだ猫を生き返らせてほしい」という依頼を受けるのだが……。リセット後の世界で「現実(いま)」に立ち向かう、少年と少女の物語。
とまあ、こんな感じ。
ちょうど TV でも「涼宮ハルヒの憂鬱」がループ世界「エンドレスエイト」に突入して物議を醸し出しておりますが、
これもラノベとかエロゲの世界では大変よくあるループ世界が題材になっている話です。
とっ!
言い切ってしまうと「ありきたりの話だなぁー」ということで興味を削がれる方もおられるかと思いますが、
これがなかなかこの作品工夫されております。
まあ、ネタバレという程のネタバレじゃないと思うのでぶっちゃけで書かせて貰いますが…
(小説は何も情報を得ていない状態で読んでみたいと思う方は、この先は読まないでください)
この、春埼美空が使える「リセット」能力に色々と制限が課せられています。
1.誰かに言われないと使えない
2.リセットして戻った世界では、春埼美空自身リセットしたことを忘れる
3.何処かで「セーブ」しておかないと戻せない。また、72 時間の経過でセーブは無効になる
4.リセット後 24 時間は新しく「セーブ」することができない
まず、2.の条件があるため春埼美空自身は時間を戻す意味を基本的に持ちません。
そこで、時間を戻した後も戻す前の記憶を保持することのできる浅井ケイの存在が必要になります。
その関係なのか、1.の条件は浅井ケイだけが命じることができるようになっています。
そして、大事なのが4.。
この条件のため、ループ世界ではありながら完全なループではなく。
必ず 1 日はズレてしまう制約が課せられます。
これだけで、成功するまで何度も同じ時間を繰り返すことができなくなり、
依頼された条件はこなすことが出来ても、
その影響で別の人が不幸になって取り返しがつかなくなる…といった状態が発生してきたりします。
こういう部分はなかなかに Good!
ただまあ、ありとあらゆる能力が存在する可能性のある世界観のご都合主義とか…
登場人物の考え方が大変独特にできているといった人物のご都合主義とか…
何か色々な場面でのご都合主義がちょーっと目立ちすぎな気がする部分もあったりしますが、
そこはそれ ラノベだもん と言ってしまえば大抵納得させられるので便利なものです。
という冗談は置いといて。
ご都合主義の多さ故に、設定の矛盾とかがあると鼻について読みづらい人にはオススメできません。
設定は設定として納得せずとも受け入れて、多少の矛盾などは無視して読むのができる方には、
まあなかなか興味深い作品としてオススメしようと思います。
− おまけ −
でも、あのオチはなーーー。
伏線を意識させない為にあの部分に入れたのかもしれないけど、
ちょ〜っと仕込みのタイミングの悪さを感じました。