ハッピー・バースディ
著者:新井素子
新人賞を受賞した直後の幸せな主婦作家にかかってくるイタズラ電話。
「いい気になるなよ」
それが崩壊の始まりだった…って感じですか。
特にスプラッタや猟奇殺人・陰惨な事件はおきませんが、十分に怖いサイコホラーです。
久しぶりに読んだ新井素子の小説ですが、素子節は健在でした。
精神的に多少弱いところがあるが日常生活には支障が無い普通の人にちょっと刺激を与えただけで壊れていくさまをかかせると巧いですねぇ。
ヒロインが少しづつ崩壊していく所は圧巻です。
何よりも怖いのはラスト。
ヒロインにとっては確かに心の平安を取り戻すハッピーエンドなのですが、読者からすると救いが無く切ない感じです。
しかし、これほどまでに救いの無いハッピーエンドを用意した小説は読んだことが無いなぁ。
読後感はどんより。