キノの旅 ? the Beautiful World ? (11)
著者:時雨沢 恵一
電撃文庫/メディアワークス
関連記事:キノの旅 the Beautiful World 10巻
買いました〜。
この腕で人を殴り この腕で人を抱く |
−Farewall to Arms?− |
久〜〜〜し振りのキノの旅の新刊です。
関連記事のリンクを作成する為に古い記事を探してみたら、ほぼ 1 年前に前の巻のレビューをしていたようです。
なかなか面白い偶然。
というか、デジャビュ感じまくりのこの書き始め…。
要するに年 1 冊しかこの本が出ていないということでしょうかね?
とまあそんな些細なことは気にすることなく、前回同様に各話のタイトルとあらすじをまずご紹介〜。
口絵「子供の国」– Burn Up –
キノとエルメスが辿り着いた国では、公園で盛大な焚き火が行われていた。
火の中へと漫画やカードゲーム、テレビゲームといった子供の遊ぶ道具を次々と火の中へ投げ込む大人達。
そして、それを呆然と見つめる子供達。
子供達は大人に勧められるまま、キノにひとつの質問をするのだった…。
口絵「お花畑の国」– Flower Arrangement –
その国は今、内乱の真っ直中だった。
国を見下ろすことのできる位置にいたキノとエルメスは、入国を取りやめて暫くその様子を眺めていた。
その時、その内乱を鎮めるべく隣国から軍隊がやってきた。
彼らのとった内乱を鎮める為の方法とは…。
口絵 プロローグ「カメラの国・b」– Picturesque・b –
そこでは大撮影会が行われていた。
たった一台しかないカメラを使い、国中の人が旅人と一緒にファインダーの中に収まるため、思い思いのポーズで想い出を記録していた。
第一話「つながっている国」– Stand Alone –
捨てられた国。
事情により国民が一人もいなくなったその国には、比較的進歩した文明の御陰で今でも十分に機能するくらいに国の中が整備されていた。
そこでキノとエルメスは一人の男と出会う。
男は言った…「この国に他に人がいないなんて嘘だよ」。
しかも、男は他にも沢山の人がこの国いることを証明できると言った…。
第二話「失望の国」– Hope Against Hope –
キノとエルメスが出国しようとしたその時、一人の人が話しかけてきた。
その人は言う…他の国でこの国の事を聞かれた時には、思い切り悪いことを言って貰えませんか?
その不思議なお願いにキノは…。
第三話「アジン(略)の国」– With You –
ひどく長い名前の国。
とてもじゃないが憶えられないような長い名前の国にたどり着いた師匠と付き添いの男。
その名前には、昔起きた悲劇的な出来事が関係していた。
第四話「国境のない国」– Asylum –
国境があるから争いが起こる。
枠を切るから争いに発展する。
そのことに気が付いた時、その国は画期的な政策によって国の平和を維持しようとしていた。
第五話「学校の国」– Assignment –
師匠に命じられて5日間だけ学校に通うことになった子供の時のキノ。
経験のない集団生活の中で色々なものを学び、色々なものを発見する。
そして5日間学び続けた結果、出来上がったものとは…。
第六話「道の話」– Passage –
ただひたすら国から国へと立派な道を作りながら移動し続ける人達。
道は国同士の交流を深め、発展に欠かせないもの。
当然彼らはその行いによって沢山の国々、沢山の人達に感謝されていた。
しかし、そんな道作りを続けるのには別の真の目的があった…。
第七話「戦う人達の話」– Reasonable –
ある人達に護衛を頼まれるキノとエルメス。
しかし、その敵は戦うことを本職とする軍隊だった。
まんまと罠にはまり古い遺跡へと追い込まれてしまうキノ。
古い遺跡の中にあるもので反撃を試みるがしかし…。
エピローグ「カメラの国・a」– Picturesque・a –
その国には宝があった。
昔その国にやってきて命を落とした旅人の遺品だった。
その宝の名前は“フィルムワモウナイ”
とまあ、こんな感じ…。
前回の巻ではパワーダウンを多少感じたこの作品ですが、今回はバッチリ!
楽しんで読むことができましたよ〜〜〜。
個人的に特に勧めるとすれば…
まず『第一話「つながっている国」- Stand Alone -』
“つながっている”と言いながら、サブタイトルは“Stand Alone”。
実に不思議ですが、読むと納得のできるものはあります。
人の満足感なんて、所詮こんなものなのかな…なんて。
あと
『第三話「アジン(略)の国」- With You -』
『第六話「道の話」- Passage -』
の両方に出てくる限界という考えた方…。
これ、現実の世の中でもあるわけなんですよねー。
きっと、著者も色々とこれに関して思うところがあるのではないかと思います。
そりゃね、綺麗事を語るのは気持ちがいいですよ。
一般的に善行と言われることであれば、やっていて気分がいいのはわかりますよ。
けど、よく考えもせずに良かれと思えることを強行している方々は、それによって何か問題が発生した時に責任を取るつもりがあるのでしょうかね?
色々な某団体さんとかには、このお話を読んでいただいたうえで小一時間問い詰めてみたいものだと思います。
とまあ、そんな感じですかね〜。
既に 11 冊目にもなる作品だけに、これまでの巻を楽しく読んで来れた方にはそのままオススメしたいと思います。
− おまけ −
今回のあとがきは簡単でした。
簡単だけど、同時に難しくもある?
何にせよこれだけ凄いあとがきを書いたことのある人は、この著者以外いないでしょうな〜。