棚から一掴み」カテゴリーアーカイブ

ステーションの奥の奥

ステーションの奥の奥 (ミステリーランド)ステーションの奥の奥 (ミステリーランド)
 著者:山口雅也

「うん。ぼくはこれから、ここへ吸血鬼を呼び出してみようと思うんだよ。」

小学6年生の陽太は東京駅が全面改築されることを知り、東京駅を探検して夏休みの自由研究にしようとする。
東京駅を探検するため、夜之介おじさんとともに東京駅の「東京ステーション・ホテル」に向かう。
そこで、彼らが遭遇した奇妙な事件。
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ぶたのたね / また ぶたのたね

ぶたのたねまた ぶたのたねぶたのたね
また ぶたのたね
 著者:佐々木マキ

「おどろかんように。このピンクのつぶは、ぶたのたねです。」
おおかみはおどろいた。
「ぶたのたね、ですって?」

足が遅くて"ぶた"を捕まえられず、野菜と木の実しか食べたことが無い"おおかみ"。
偶然とおりすがった"きつね"博士が、どうしても"ぶた"が食べたい彼にくれたモノとは、"ぶた"の実がなる木の種と早く大きくなる薬だった。
"おおかみ"が植えた"ぶたのたね"は、大きくなりやがて
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くらのかみ

くらのかみ (ミステリーランド)くらのかみ (ミステリーランド)
 著者:小野不由美

「座敷童子がいい妖怪だって言われるのは、だからなんだね。お金持ちになるのはいいことだから、それを連れてきてくれる妖怪は、いい妖怪なんだ。」
「へえ?」と、想一はちょっと、いたずらでもたくらむような顔をした。「お金持ちになるのは、いいことなのかい?するとうちは、お金持ちじゃないから、いい状態じゃないんだな。」

講談社の子供向けミステリシリーズ「ミステリランド」の第1回配本の中の1冊です。
ミステリランドは、この本の他は森博嗣の「探偵伯爵と僕」を購入済み。

「探偵伯爵と僕」もそうなんですが、子供向けとは言え、なかなかに丁寧なミステリで、いっさい手抜きはありません。
5人しかいなかったはずの子供たちにまじった座敷童子、しかしどの子が座敷童子かは誰にも分からない。
そんななかで起こる旧家の後継者争いと、それに関連するかのような後継者候補に襲いかかる不可解な事故。
しかも座敷童子の招待が、メイントリックにも関連してくる解決篇はなかなかに爽快です。

子供だけでなく、ミステリ好きだったかつての少年少女にもオススメの1冊です。

新宿鮫IX 狼花

狼花  新宿鮫IX (新宿鮫 (9))狼花 新宿鮫IX
 著者:大沢在昌

警察にはふたつの顔がある。キャリアに代表される有能な官吏が公の席で「暴力団壊滅」をうたう一方で、現場警察官は課せられた「拳銃取締」や「違法薬物摘発」のノルマのために、顔見知りの暴力団員の力を借りる。
幹部は清潔で理想的であれ。泥は末端がかぶればよい。
鮫島が許せないと感じる、警察の根本的な体質だった。

新宿鮫シリーズ最新刊「狼花」読み終わりました。
前作以前からの鮫島のライバル、国際犯罪者の間野(仙田)とキャリア同期の香田。
この2人と鮫島の争いに決着が着いた作品でしたが.
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カポネ

カポネカポネ
 著者:佐藤賢一

「それにしても・・・」
どうして、こんなことになっちまったのかなあ。アルは自らの呟きに捕らえられた。ただ俺はビジネスに励んできただけなのに・・・。それがアメリカ流だったはずなのに・・・。

20世紀初頭のニューヨーク。
イタリア人街の顔役であり、ギャングの大ボスであるジョニー・トリオに見込まれた青年アル・カポネ。
バーテンダーからはじめた彼が、持ち前のビジネスセンスと明晰な頭脳、問答無用の破壊力で、裏社会を支配する帝王になる。
アル青年が暗黒街の帝王としてシカゴに君臨するまでを描いた第1部と、彼に憧れ執拗に追い回す禁酒局特別捜査官エリオット・ネスの栄光と堕落を描いた第2部からなる二部構成。
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数学ガール

数学ガール数学ガール
 著者:結城 浩

「虚数単位以外に、どんなアイがあるの?」

数式の展開が好きな僕が、高校時代に出会った2人の少女ミルカさんと、テトラちゃん。
数列とパターンに始まり、素因数分解・角運動・フィボナッチ数列・相加相乗平均・微分積分・カタラン数・コンボリューション・テイラー展開・バーゼル問題、そして分割数。
彼女らと旅する数学の世界。

プログラマの数学の結城浩が、LaTeXで組版した小説。
才媛ミルカさんと、元気少女テトラちゃんとともに旅する数学の世界は魅惑的。
通読すると、細かい理論はさておき、大筋で分かった気になれるところも流石です。

数学が好きな人にも嫌いな人にもオススメ。

鹿男あをによし

鹿男あをによし鹿男あをによし
 著者:万城目 学

「奈良の人間は、鹿に乗るんです」
「ば、馬鹿を言え」
「最近は少なくなったけど、今でも奈良公園や春日大社の近くに住んでる人は、近くのスーパーに行くときは鹿に乗ります」

奈良の女子高に産休の代用教員として赴任してきたオレが出会った中年声で話す雌鹿。
彼?に依頼されたお使いが、実は日本を災害から守る大事な役目だったとは

どことなく「坊っちゃん」風の登場人物たちと主人公が織り成すゆる〜いファンタジー。
歴史ネタや日本神話ネタを散りばめつつ構成されたストーリは、先が読める展開だが、それがまた妙に心地よい。
玉木宏主演のドラマ版は見ていなかったのだが、ヨメが録画していたはずなので時間があるときに見てみよう。

鴨川ホルモーがお嫌いで無い方にはオススメ。

黒猫館の殺人

黒猫館の殺人 (講談社文庫)黒猫館の殺人
 著者:綾辻 行人

「いいねえ、北海道は」
「梅雨が無いのも台風が来ないのも確かにいいけどね、問題の核心はなによりもまず、あいつらがいないことだ」
「あいつら?何ですか、それ」
「ゴキブリに決まってるだろう」

ホテル火災に巻き込まれ、記憶をなくした男。
彼が火災現場から持ち出した手記には、中村青児の設計した館"黒猫館"で起こった事件が綴られていた。
鹿谷は、どこにあるとも知れない黒猫館を探し、彼の記憶を取り戻すことができるのか?

館シリーズ6作目。トリックのスケールは大きいけどうーん。
はじめにトリックありきで物語を作った感満点ですね。
叙述トリックと言うよりは間違い探し感の高い小ネタ満載です。

時計館の殺人

時計館の殺人 (講談社文庫)時計館の殺人
 著者:綾辻 行人

「"現実"という名の巨大幻想を造り出し、これを確かな基本として万人に認めさせ、信じさせるような圧力を加え続けることが、この社会と言うものの最大の役割なんだと思う。そうすることによって初めて、人々に安定が供給されるわけだ。」

鎌倉の郊外に立つ時計館。その館は当時の当主がコレクションした108もの時計で埋め尽くされている。
幽霊が現れるという噂があるその館に取材のために訪れた雑誌「CHAOS」の編集者と霊能力者、W****大の超常現象研究会(ミステリ研)のメンバ達。
10年前に時計館で起こった痛ましい事故と、彼らを襲う連続殺人との関係とは?

館シリーズ5作目。場を支配する大掛かりなメイントリックを擁する閉ざされた館モノ。
事件が起こっている館内と、事件を知らずに他の謎を追っている館外の探偵役。
構図は氏のデビュー作「十角館の殺人」と全く同じですね。
解決後、真相がひっくりかえる所は流石ですが

人形館の殺人

人形館の殺人 (講談社文庫)人形館の殺人
 著者:綾辻 行人

「あれから何度も思い出そうとしてみたんですけどね、どうしても、うまく見えてこないんです。遠すぎて手が届かない—それに何か、形の違う破片がたくさん混ざりこんだパズルみたいな感じで・・・。」

飛龍想一が亡くなった父から相続した京都の邸「人形館」。
近所では子供を対象にした通り魔殺人が横行し、邸の中には父の残したマネキンが
そして、想一の近辺にも彼を狙う正体不明の殺人者が現れる。
館シリーズの4作目。

館シリーズを3作目まで読み続けてきた中で、これが一番面白かったです。
メイントリックと犯人は、ある程度早い段階で分かってしまいますが、それでもなお面白い。
ラストのカタルシスは一番ではないでしょうか?

今までの館シリーズとは、かなり異色な作品ですが、これは良いですよ。
ただし、他の館シリーズを読まずに、いきなりコレを読むとカタルシスが少ないので、注意が必要。