西巷説百物語
著者:京極夏彦
「これで終いの金比羅さんや」
巷説百物語、前巷説百物語に連なるシリーズ。
舞台は関西、主人公は今までのシリーズの又市ではなく、靄舟の林蔵。
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前巷説百物語
著者:京極夏彦
「泣き乍ら帳尻合わせるばかりが人の道じゃねえ。
騙して賺して謀って、夢ェ見させてやることだって出来るじゃねェか。
神や仏ってな、その夢なんだろが。神も仏もねェ世なら、化物でも何でも構いやしねェ。
所詮この世は嘘ッ八だ。嘘と承知で収められねェものかよゥ。」
小股潜りの又市が御行になる前、御燈の小右衛門や山猫廻しのおぎんと組んで仕事を始める前の駆け出しの頃のお話。
荒唐無稽な大仕掛けを仕掛ける「寝肥」や「周防大蟆」、御燈の小右衛門との出会いを描いた「かみなり」など前三作とは違った趣。
青臭い又市が、時に失敗をしながらも成長していくさまは読んでいて楽しい。
駆け出しの頃の話なので、前三作のような凝りに凝った大仕掛けは無いが、これはこれで楽しいです。
「嗤う伊右衛門」
著者:京極夏彦
四谷怪談をベースに京極夏彦が描いたラブストーリ。泣かせます。
岩と伊右衛門、どちらも相手の事を想っているのに、ちょっとした行き違いとで2人は別れ、しかしそれでも互いに求め合う。
ラスト伊右衛門と岩の抱き合う骸が登場するシーンの描写は秀逸。
愛憎、美醜、正気と狂気、相反する感情を描いた傑作です。
「ぼっけえ、きょうてえ」
著者:岩井 志麻子
バラエティに出ている岩井さんはただのスケベおばさんですが、この本の表題作は怖いです。
女郎が客に岡山弁で寝物語を聞かせると言うスタイルになっているのですが、最後まで読ませます。
読後、表紙絵の美人画を見直すとさらに怖い感じ。