私が執筆した WordPress 関係の本としては二冊目となる「WordPressプラグイン開発のバイブル」が 7/22 に発売されました。
これは 宮さん、西川さん、三好さん達との共著になります。
以下に序文を引用します。
WordPressは世界の7,000万サイト以上で使用されており、CMSシェアにして60%にもなる、世界で最も多く使用されているCMSです。
このWordPressのシェアを支えるもっとも大きな要因の1つは、WordPressがオープンソースであるからです。
インターネットの豊かさを支えるものはコンテンツです。
世界中の数々の良質なコンテンツが現在のインターネットの豊かさを形成しており、現在もめざましいスピードで進化しています。
そして、サーバーやミドルウエア、そしてWordPressのようなCMSは、これらのコンテンツをささえるための縁の下の力持ちでしかありません。
しかし、良質なコンテンツを作るには優れたツールが必要で、それらのツールの開発には、膨大なコストが必要です。
そういったコスト負担を分担しあおうという考え方から、私たちのウェブ業界はオープンソースという考え方を取り入れ、積極的に活用するようになりました。
そうした背景の中で、優れたツールが生まれ、それを土台にしてさらに良質なコンテンツが生まれているのが、現在のインターネットです。
さらにいえば、WordPressが採用するライセンスはGPLです。
このGPLライセンスは、ユーザーに対して自由を保証することを主目的としたライセンスであり、ユーザーは利用規約やライセンス条項などを気にすること無く自由な目的に使用することができます。
WordPressはGPLを採用しているからこそ、現在のシェアを獲得していると私たちは考えています。
そんな中で、日本においては、毎月と言ってもいいほどのたくさんのWordPress関連書籍が発売され、イベントやセミナーなども全国各地で毎週のように開催されています。
WordPressコミュニティが開催する公式なイベントWordCampには毎回1000名を超えるほどの参加者が集まるようにもなってきました。
しかしながら、日本国内においてこれらの書籍やイベントがターゲットとする層のほとんどが単なるWordPressユーザーであり、開発者をターゲットとしたものがほとんどありません。
世界中のエンジニアが自らの成果物を無償で公開しだれでも利用可能にするのはなぜでしょうか?
そこには何らかのメリットや意図がかならずあるはずです。
本書は、日本で初めてとも言える開発者をターゲットとしたWordPressの専門書です。
私たちは本書をとおして、開発者からみたオープンソースのメリットをみなさんと共有していきたいと考えています。
そのため、これまでのWordPress本で紹介されてきたようなググれば分かる内容の解説には、それほど重きをおいていません。
それらはWordPressのバージョンアップなどによりすぐに陳腐化していく内容だと私たちは考えており、もっと普遍的な内容を取り扱っていきたいと考えてきました。
たとえば、本書で紹介されているセキュリティ対策やエラー処理は、みなさんが開発するプラグインの信頼性を向上にすくなからず貢献できるはずです。
コーディングスタンダードやPHPunitを使用したテスト方法は、プラグインのメンテナンス性を向上させるための手助けとなります。
WP-CLIやGruntなどのサードパーティーのツールや、Vagrantなどの開発環境は、開発におけるワークフローを劇的に改善するでしょう。
公式ディレクトリへの登録方法や国際化などは、みなさんに世界への扉を開くことになるはずです。
もちろん、WordPress APIにつきましても、極力たくさん網羅できるように努力しました。
日本国内においてはWordPress開発者が十分に多いとはいえません。
本書の重要なターゲットは、既存のWordPressユーザーというよりもWordPressを使ったことがないPHP開発者です。
ある程度経験を積んだプログラマーなら、目次をさっとみただけで、必要なキーワードが手に入ることを目指して書いてきたつもりです。