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鴨川ホルモー

鴨川ホルモー鴨川ホルモー
 著者:万城目 学

「このごろ都にはやるもの、
 勧誘、貧乏、一目ぼれ。
 葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。
 腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、
 出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。」

京都の大学間で行われている競技「ホルモー」。一人当たり100匹のオニを使役し10人一チームで戦闘を行う。
参加サークルは京都大学青龍会、京都産業大学玄武組、立命館大学白虎隊、龍谷大学フェニックス。
京都大学青龍会第五百代目の安倍を主人公に繰り広げられる青春小説。

主人公安倍とサークル間の人間関係にスポットを当てた作りになっています。
ホルモーやオニと言う大きな謎を置いてけぼりに、学生生活や人間関係に悩む主人公が良い。
キャラ立ちも良いし、このホルモーを題材に話を展開して行くのであれば、かなりうまい掴みになっている作品。
次作以降では、競技としてのホルモー自体をもっと掘り下げた作品もほしいところ。
二大陰陽師の名前を冠せられた主人公(安倍)とライバル(芦屋満)の対立も気になるところ。

軽い青春小説が読みたい方にオススメ。

DDD 1、2 巻

DDD 1DDD 2DDD(1)(2)
著者:奈須きのこ
イラスト:こやまひろかず
講談社BOX/講談社
関連記事:真月譚月姫 5 巻

買いました〜。

「────、ぁ」
 その左腕が、痛かった。
 ゴリゴリという音が聞こえる。
 全身が削られていく悪寒。
 全体が咀嚼されていく快感。
 自分が、淡々と食われていく実感。
 左腕が消え去り、ようやく自由を取り戻す。暗闇で、まだハラハラと啜り音がする。毛布をはぐ。
ベッドの上は一面の赤。鼻から下を真っ赤に染めた少女が、砕けたアゴで微笑んでいた。

『──だって、お兄ちゃん苦しいでしょう?』

 少女は、何かよくないモノに憑かれている。
 ペロリと平らげた左腕。痛みもなく、噛痕もない。少女は砕けたアゴで断面を舐める。喪われた者、大きな隙間を埋めるように。

 それは骨の軋む幽かな夜。
 花開くような、美しい命の音。

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絶の島事件

絶の島事件?シム・フースイVersion5.0絶の島事件?シム・フースイVersion5.0
 著者:荒俣宏

「わかっていないのね、龍人。わたしがいった魔というのは、あなたのことだわ」

400年前に、鳥羽の海に消えた幻の島「絶の島」。
「風水の故郷トバ」というテーマで町おこしを行うため、風水の見立てを依頼された風水師・黒田龍人は、絶の島と九鬼水軍の秘宝にまつわる事件に巻き込まれていく。

風水師・黒田龍人と霊能を持つ助手有吉ミヅチが主人公のシム・フースイシリーズ第5作目。
今作では、痛めれば痛めつけられるだけ霊能を発揮するミヅチの霊能は残念ながら発揮されません。
# それどころか、ミヅチに優しく接する龍人というありえない展開も!

荒俣先生の博物学的知識が随所に織り込まれるこのシリーズ。
オカルト・呪術・風水・催眠術など、お嫌いで無い方にはオススメです。

最近の読書事情

最近、東京出張が多いため、往復の新幹線内ではもっぱら図書館で借りた本を読んでいる。
持ち歩くには文庫本が良いのだが、図書館で借りるとなると贅沢も言ってられない。
先週読んだ「ZOLA・一撃・さようなら」と「容疑者xの献身」は、どちらもハードカバーだったので出張カバンの中で非常に邪魔だった。
# さらにもう1冊「絶の島事件」(荒俣宏著)も持っていって読んだのだが、こちらは文庫。

今週は、何を持っていこうかまだ決めていない。
実は図書館で本を借りてきてくれるのはヨメで、私はそのヨメセレクションの中から何冊か本を持っていくというシステムである。
出たばかりの本や、ドラマ化・映画化などで話題の本は予約が多くて中々借りられないらしい。
そんな訳で、このブログで紹介するのはちょっと古めの本になる。
森博嗣の「もえない」は、予約待ち中でまだ読めていない。
万城目学の「鹿男あをによし」、「鴨川ホルモー」辺りも読んでみたいと思うのだが、鹿男はドラマ放映中だから厳しいかも。

列車での移動中と言うのは、他に娯楽が無いからか、読書に集中できる。
そう言えば東京で勤めていた頃も、読書は列車(or 飛行機)移動中が主だったなぁ、なんて思い出したりした次第。
元々読書自体は嫌いではないのだが、いかんせん他の誘惑があると、つい後回しにしてしまう。
いつでも読めるから、また今度になってしまうのだ。
iPod なんか手に入れた日には、読書をしなくなってしまうかもしれない。注意せねばだ。

まぁ、そんな訳でしばらく読書感想文が続くと思いますが、ご勘弁を。

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身容疑者Xの献身
 著者:東野圭吾

「この世に無駄な歯車なんかないし、その使い道を決められるのは歯車自身だけだ、ということをいいたかったんだ」

ある母娘が犯した殺人事件。
その母娘の隣人である天才数学者石神は彼女達を守るため、完全犯罪をもくろむ。
石神の同窓生でもある湯川は果たして真実に迫れるか?

探偵ガリレオシリーズの湯川助教授が活躍する長編。
犯人と犯行現場は最初に開示されているため、読者に求められるのはハウダニット。
というか殺害方法と殺害現場も提示されているので、石神がどうやって隠蔽しようとしたかの謎解き。
天才vs天才って設定に弱いですね。クラクラしてきます。

映画化も控えているので詳しく書けませんが、これは面白いですよ。
って言うか、展開的には地味な話なので映画化も非常に気になりますね。
TVドラマ版最終回のレッド・マーキュリーのようなトンデモ展開になりそうな要素は有りませんが、そんな飛び道具を追加してくるかも。
# 残念な結果にならなければ良いですが
映画化の際は、原作に忠実に丁寧に作っていただきたい。

ゾラ・一撃・さようなら

ゾラ・一撃・さようならゾラ・一撃・さようなら
 著者:森博嗣

愛する人を、私は殺せるだろうか。
できる。
それは・・・・・・・、
愛するからこそ、できる。
これが、愛するという形だから。
私の形だから。

志木真智子からの依頼で、元都知事の法輪精治郎から美術品「天使の演習」を取り戻して欲しいと依頼を受けた探偵頸城悦夫。
一方、法輪精治郎はゾラと言う殺し屋に命を狙われている。

夏のレプリカに登場した盲目の詩人「簑沢素生」や、魔剣天翔などのVシリーズに登場した宝剣「天使の演習(エンジェル・マヌーバ)」が登場することからもわかるとおり、S&Mシリーズ・Vシリーズの外伝的作品。
ちょっとハードボイルド、ちょっとミステリ、ちょっとロマンスの中途半端感がぬぐえない。
オシャレな会話とVシリーズやS&Mシリーズの雰囲気が楽しみたければ読んでみても良いが、森博嗣ファン以外には勧められないかも。

十角館の殺人

十角館の殺人 新装改訂版 (講談社文庫 あ 52-14)十角館の殺人 新装改訂版
 著者:綾辻行人

「僕にとってミステリとは、あくまでも知的な遊びの一つなんだ。小説と言う形式を使った読者対名探偵の、あるいは読者対作者の、刺激的な論理のゲーム。
それ以上でも以下でも無い。

大分県のS半島J崎の沖合い5kmの海上に浮かぶ孤島・角島。
その島に建つ十角形の奇妙な館<十角館>を訪れたK大学ミステリ研の7人。
半年前、角島に青屋敷と十角館を建て、暮らしていた建築家・中村青司と家族は、青屋敷とともに焼死していた。
青屋敷の事件とリンクするかのように殺害されていく学生達。
ミステリ研の学生達は犯人を特定することができるのか?

20年前に発売され、新本格ブームを巻き起こした綾辻行人の「十角館の殺人」の新装改訂版です。
本土との連絡手段を絶たれた孤島と、本土での同時進行で進む事件。
半年前に惨劇が起こった孤島を舞台に犯行を行わなければならなかった犯人の動機とトリック。
さすが、新本格ムーヴメントを起こした作品だけありますね。

本格好きは、一度は読んでおきたい一作。

少し変わった子あります

少し変わった子あります少し変わった子あります
著者:森博嗣

「孤独を感じるためには、孤独じゃない状況を知らなければならない。そうじゃありませんか?
その対比があってこそ、孤独だと感じるわけです。」

小山教授が、後輩の荒木に紹介された少し変わった名もない料理店。
必ず一人で訪れねばならず、営業場所は毎回変わる。
顔を見せる店員は三十代と思われる女将一人だけ。
メニューの一つとして、毎回違う若い女性が相伴してくれる。

毎回、違う趣向の会話を楽しませる連作短編集。
具象と抽象、フェティシズム、人生、孤独色々と考えさせられます。

タカイ×タカイ

タカイ×タカイ (講談社ノベルス モF- 41)タカイ×タカイ
 著者:森博嗣

「鈍感だから、周りを気にせずに、その分よけいな事を考える暇があったんですね。だから脳が発達したんだ。」
「君を見ていると、特にそれを感じるわよ」

有名マジシャン・牧村亜佐美の自宅敷地内のポールに掲げられた他殺死体。
地上15メートルのポールの頂上部に掲げられていた被害者は、牧村のマネージャだった。
なぜ、どうやって、彼はそんなところに掲げられねばならなかったのか?

Xシリーズ第3作目は、不可解なところで発見された他殺死体のお話。
我らが西之園嬢も、探偵役もかってでるくらい積極的に絡んできます。

椙田さんと西之園嬢の関係や、西之園嬢が公安とともに追う事件の話もでてきて、ますます目が離せないシリーズになりましたね。
同時進行のGシリーズも気になるところ。