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なで肩の狐

51Y8J61YEML._SL75_.jpgなで肩の狐ir?t=dogmatismandp-22&l=ur2&o=9
 著者:花村萬月
主人公は、自らの暴力衝動に嫌気がさしてヤクザ稼業から足を洗った木常(キツネ)と、気の弱さから勝つことができず十両まで行ったが引退した元力士蒼ノ海
キツネが以前のヤクザ仲間徳光から預かったアタッシュケースをめぐって、以前の盟友笹山とゴチャゴチャする話。
初期の萬月作品は、たいてい最後は主人公が遠いところに向かうんですが、この作品もご多分に漏れず最後は北海道を目指します。

圧倒的な暴力と、その裏にある優しさと倦怠感。
キツネも蒼ノ海も無茶をしますが、最後はなんだかホンワリさせられる話。
圧巻はラストの蒼ノ海 vs 羆
こらもう凄いとしか言いようがありません。

ヒトクイマジカル?殺戮奇術の匂宮兄妹

51GRAPNZTML._SL75_.jpgヒトクイマジカル?殺戮奇術の匂宮兄妹ir?t=dogmatismandp-22&l=ur2&o=9
著者:西尾維新
講談社NOVELS
関連記事:クビシメロマンチスト?人間失格・零崎人識

買いました〜。

《百万ドルの笑顔、ただしマクドナルド》

かつ

《サマータイム導入、ただし吸血鬼》

かつ

《顔面セーフあり、ただしボクシング》

み・た・い・なーっ!

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クビシメロマンチスト?人間失格・零崎人識

51YWWCV1MXL._SL75_.jpgクビシメロマンチスト?人間失格・零崎人識ir?t=dogmatismandp-22&l=ur2&o=9
著者:西尾維新
講談社NOVELS
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買いました〜。

愛されなかったということは

生きなかったことと同義である。

─ルー・サロメ─

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カエサルを撃て

31JYCT4QYQL._SL75_.jpgカエサルを撃て
 著者:佐藤賢一
ユリウス・カエサル率いるローマ軍のガリア侵攻を、ガリア側の首魁ヴェルチンジェトリクス側の視点から描いた反ガリア戦記とでも言うべき作品。
諸部族が群雄割拠するガリアを纏めあげ、ローマ軍に対抗した若者ヴェルチンと、政治家人生も終盤を迎えポンペイウスへの劣等感に苛まされるカエサルの対比が楽しい。

特に中盤、ヴェルチンとカエサルが直接対峙する辺りからの疾走感は圧巻。
政争に明け暮れ、疲れきっていたカエサルが、ヴェルチンとの対峙で軍人としての誇りを取り戻していく過程が丁寧に描かれ、最終決戦まで一気に盛り上げまくります!

ヤクタ・アレア・エスト(賽は投げられた)

黄金旅風

5106H2PWYEL._SL75_.jpg黄金旅風
 著者:飯島和一
寛永年間、内外の脅威から海外貿易都市・長崎を守った二人の快男児。
「金屋町の放蕩息子」史上最強の朱印船貿易家・末次平左衛門と「平戸町の悪童」内町火消組惣頭・平尾才介の活躍を描く物語。
飯島さんの小説は「雷電本紀」以来なのですが、素晴らしかったです。

弟を怪我させた暴れ馬を自分の身の丈を越える斬馬刀でぶった切ったり、火事場から子供を救い出すために顔半分に大やけどをしたりしている平尾才介。
長崎代官として私財を投げ打って火事にあった人たちを助ける末次平左衛門。

権謀術数を嫌い、私利私欲を捨て、ただ4万の長崎の民のために闘った男の生涯!

良いですねぇ、燃えます

キノの旅 the Beautiful World 9巻

51WBEHHYY1L._SL75_.jpgキノの旅〈9〉the Beautiful World
著者:時雨沢 恵一
電撃文庫/メディアワークス
関連記事:キノの旅 「旅人の話」
買いました〜。

いやいや、久々の新刊! 面白かったですよ〜。
相変わらずの静かな雰囲気、相変わらずの長閑な雰囲気、そしてダークな風刺
面白さ健在です〜。

あなたのその悲しみは やがてあなたになる−Do You Love You?−

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どすこい(仮)

4109TQ43JXL._SL75_.jpgどすこい(仮)
 著者:京極夏彦

「地響きがする−と思っていただきたい」
と言う一文で始まる7本の短編からなる作品。
全編に必ずおすもうさんが出演し、キーワードは四十八手「頭捻り」
ベタでメタな下らないギャグの繰り返しが楽しい短編集です。

おすもうさんとベタな笑いが好きな人にオススメ。
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ハッピー・バースディ

31NER3FN8DL._SL75_.jpgハッピー・バースディ
 著者:新井素子
新人賞を受賞した直後の幸せな主婦作家にかかってくるイタズラ電話。
「いい気になるなよ」
それが崩壊の始まりだったって感じですか。
特にスプラッタや猟奇殺人・陰惨な事件はおきませんが、十分に怖いサイコホラーです。

久しぶりに読んだ新井素子の小説ですが、素子節は健在でした。
精神的に多少弱いところがあるが日常生活には支障が無い普通の人にちょっと刺激を与えただけで壊れていくさまをかかせると巧いですねぇ。
ヒロインが少しづつ崩壊していく所は圧巻です。
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τになるまで待って

51Z15WEA42L._SL75_.jpgτになるまで待って
 著者:森博嗣

Gシリーズ3作目。今度は洋館密室殺人だ。
真賀田博士に関わる文献を調べに山奥の洋館に訪れた赤柳探偵と助手役で呼ばれた山吹・海月・加部谷の3人組が遭遇した密室殺人。

事件の手口自体は、後半現場に現れた犀川先生と西之園さんが5分で解決。
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奇偶

51R1M6T69RL._SL75_.jpg奇偶
 著者:山口雅也
山口雅也が本格推理小説のタブーである「偶然」に真っ向から挑む。

主人公である作家「火渡雅」の周りで起きる不可解な偶然の連鎖。
偶然起きた事件には必ずゾロ目のダイスが関連し、人物の名前は易経と関連する。
主人公と友人の精神科医が事件の背景を推理していくが、どうしても偶然性を排除することができない。

推理小説のスタイルを取りながらも事件の解決はそっちのけで偶然を俎上に載せ、物理学・数学・神学・哲学・文学・民俗学・心理学・易経などあらゆる分野からの検討がなされる。
ともすれば、読者の人間としての存在意義さえも揺らがせる力作。
屁理屈好きにはたまらない一冊。
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