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沙門空海唐の国にて鬼と宴す

沙門空海唐の国にて鬼と宴す (巻ノ1) (TOKUMA NOVELS)沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ2 (2) (TOKUMA NOVELS)沙門空海唐の国にて鬼と宴す
 巻ノ1 巻ノ2 巻ノ3 巻ノ4
 著者:夢枕獏

「おれは、密の何もかもを、根こそぎこの手にほしいのだよ。」
「—」
「しかも短期間でだ」
「なんと」
「そのためには、ただの留学僧空海として青龍寺へゆくよりは、
あの空海ということでゆく方が早かろう。」

貞元二十年(西暦804年)、遣唐使として橘逸勢らとともに入唐した若き沙門空海
その頃、唐の都長安では、2つの妖異な事件が起こっていた。
役人、劉雲樵の屋敷には人語を解し予言をする猫が現れ、郊外の綿畑では夜な夜などこからともなく声が聞こえてくる。
長安入りした空海と逸勢は、その事件に関わっていき

空海と逸勢の掛け合いが楽しい長編小説。
獏さんの「陰陽師」シリーズの晴明・博雅コンビを思い出します。
陰陽師シリーズがお嫌いでない方にはオススメの1冊です。

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女信長

51D4SSYCG3L._SL75_.jpg女信長
 著者:佐藤賢一

「ああ、私は必ず勝つ。女というなら、女は博打などしない。そんな馬鹿げた真似をするのは男だけだ。
成功を確認しないかぎり、女は梃子でも動くことがないものだ。

織田信長は女だった。
女ならではの発想で世の男どもを出し抜き、斉藤道三、浅井長政をはじめとする並み居る戦国武将を誘惑し、ヒステリックに金切り声で叫ぶ。
信長が女性だったという設定で、鉄砲隊の導入や、浅井長政の裏切り、本能寺の変を描く伝奇小説。
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鬼喰う鬼

413S896N74L._SL75_.jpg鬼喰う鬼
 著者:野火迅

「さればこそ、無情の鬼は、人の世を踏みにじるばかりというたのじゃ」

渡辺綱坂田金時らによる大枝山の酒呑童子討伐を再構成した伝奇小説。
主人公は渡辺綱に育てられた隻腕隻眼の鬼にして征夷大将軍の源雷光(幼名:稜王丸)。
武家社会に息づく鬼の系譜を大胆に描写!
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パシパエーの宴

514F0CYXX3L._SL75_.jpgパシパエーの宴
 著者:とり・みき

「クダンハ、ウソヲイワヌ」

とり・みきのシリアス系の伝奇・怪奇・SF作品を集めた短編集。
くだんに取り組んだ表題作のほか、書き下ろし最新作「鏡地獄」などを含む。

表題作「パシパエーの宴」は南方熊楠、ギリシャ神話まで絡ませた意欲作。
他にも、「石神伝説」の系譜に連なる「甕」など、とり・みきの懐の深さを感じさせる短編集に仕上がっています。
個人的には、ある日目が覚めたら冷蔵庫になっていた少女を描く「冷蔵(庫)人間1号」がお気に入り。

大帝の剣

51QMMMMMY7L._SL75_.jpg51Q5HGQDQ4L._SL75_.jpg大帝の剣〈1〉天魔の章?天魔降臨編・妖魔復活編ir?t=dogmatismandp-22&l=ur2&o=9
大帝の剣〈2〉天魔の章?神魔咆哮編・凶魔襲来編ir?t=dogmatismandp-22&l=ur2&o=9
 著者:夢枕獏
蓬髪に珊瑚のかんざしを刺し、アレクサンダー大王の大剣を背負った万源九郎が、豊臣の血を引く娘を連れ、宮本武蔵天草四郎時貞、さらには天空船で宇宙からやってきた黒鉄鬼と丁々発止とやりあう時代伝奇小説。

時代伝奇小説好きにはたまらんのですが
獏さんお得意の大風呂敷の広げすぎで、いまだに終了していない作品。
面白くなってきていただけに残念でならない。
最後の「飛騨大乱編」が出たのは平成4年くらいだったか?
他にも未完の作品はあるが、これも早く決着を付けて欲しい作品のひとつ。
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荒野に獣慟哭す 2巻

51S0677W5NL._SL75_.jpg荒野に獣慟哭す (2)
原作:夢枕 獏
漫画:伊藤 勢
講談社
買いました〜。

いやいや、相変わらずのなかなかの面白さ(笑)。
原作は共同執筆者が大好きな夢枕 獏先生の昔の作品。私は未読なのですがかなり重めでドロドロした話らしく、漫画版はそれを伊藤 勢先生が上手にライトに描きあげています。

ストーリーは、生物兵器“独覚兵”としての改造を受けた主人公御門周平が、失った自分の記憶を探しながら残る11匹の独覚兵とバトルを繰りひろげていく物語です。

原作ではかなり夢枕先生らしいバイオレンス描写が豊富らしいのですが、コミック版ではかなり緩和されています。元より画力のある漫画家、スピード感、迫力、そして所々に入り込む細かいギャグ! どれを取っても良い感じです〜。

ただ、ストーリー全体の複雑さと、それに絡む登場キャラの多さはどうしてもあるので、難しい話が苦手な方にはあまりオススメできないかもしれません。
とりあえず、読んでみるのが吉だとは思いますけど(笑)。

− おまけ −
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傭兵ピエール

511T178N23L._SL75_.jpg傭兵ピエール
 著者:佐藤賢一

ジャンヌ・ダルクと彼女を助ける傭兵隊長ピエールの話。泣かせます
悪辣非道の傭兵隊長ピエールが、憎めないキャラクターとして実に生き生きと描かれています。
脇役達も非常に魅力的。

歴史的な事実であるジャンヌ・ダルクの処刑も見事に処理し、最後の言葉「イエス様、イエス様」にも別の意味を持たせている所は見事としか言いようがありません。
伝奇小説ファンにはたまりませんなぁ。